江戸時代の実践的な体位テクニックってあるの?
俗に、「四十八手」といえばセックスの体位。48種類の体位がありますが、よく見てみるとアクロバティックなものが多く、「彼と一緒に実践したい」と思える現実的な体位の数は中々ありません。せっかくならば、もっと彼と実践できる体位のテクニックについてたくさん知りたいですよね。
そこでオススメなのが、『風流御長枕』(ふうりゅうおんながまくら)。こちらでは八種の体位が紹介されていますが、現代でも親しまれているベーシックな体位の快感を、よりアップさせるような方法が書かれているのです。
今回は中でも有名な四種類を、厳選してご紹介いたしましょう。
いつもの体位をもっと気持ちよく!その1:正常位「本手取り」

まずは正常位をもっと気持ちよく感じる為のテクニック、「本手取り」という体位について確認してみましょう。『風流御長枕』には、このように記載されています。
「男、長突きにゆるゆると遣り掛け、女のもがく拍子に乗らず、まことに嬉しがる奴は、男の拍子を抜くに従ひ、なをもがき強く、命の洗濯水流れ出づるぞかし」
高速のピストンではなく、ゆっくりとした抜き差しが女性の快感につながる…と、推奨されています。続いて…
「足の指の屈んだ所、又、自づから顔が仰向くは、いづれも御合点か」
とあり、女性が本当に感じているかどうか、反応を観察することも忘れてはいけないと書かれています。これはやはり「女性の気持ちいい場所を男性が知る」ということが、この体位の快感に必要不可欠だからなのでしょう。さらにピストン運動のテクニックとして…
「内、外に攻めてみたまへ」
とありますので、直線的な運動ではなく、膣の内側や外側をこねるように動くことも大切ということですね。
正常位での女性側のアプローチとしては、気持ちいい速度や場所、動き方を相手にしっかりアピールする…ということが効果的でしょう。
いつもの体位をもっと気持ちよく!その2:後背位「逆遊」
続いて、情熱的なセックスを好むカップルから人気の高い後背位が、もっと気持ちよくなる方法「逆遊」(ぎゃくゆう)の体位についてチェックしてみましょう。
「かやうに変はった事、折節はよし」
「風流御長枕」には「たまには後背位もしてみましょう」とあることから、江戸時代では正常位が一般的だったことがうかがえます。
「常のと違ふは、男の玉茎が上下に入りて、玉門の下面を雁首にて擦る」
正常位とは違い、膣の下側を男性器が突き上げるところが特徴的である、と書かれています。
「子宮に玉茎の先が、真っ直ぐに向かふ故、女の心地よき事、限りなし」
子宮口を亀頭が直接突くことで特別な快感につながる…とのこと。いわゆるポルチオ性感帯への刺激のことを言っています。逆遊はポルチオ性感に達しやすい体位と考えられていたのかもしれませんね。
この逆遊における男性への動き方指導としては次のようにあります。
「男、上より女の車骨と言ふももの付け際に手をかけて、前へ引き寄せ引き寄せするやうにして、其の拍子に、静かに腰を遣ふべし」
「男性は、女性のももの付け根の骨に手をかけて、身体を引き寄せるようにして、リズムを合わせて腰を使うように」とされています。
ですので、女性は男性の手を、ももの付け根の骨の部分にさりげなく導くのがよいでしょう。
いつもの体位をもっと気持ちよく!その3:騎乗位「茶臼」

江戸時代、騎乗位は「茶臼」と呼ばれていました。これはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。この「茶臼」の紹介の中で、江戸時代のセックスに対する考え方として注目したい文章があります。
「男の脚屈めざれば、下より腰の遣はれぬもの也」
これは「男性は膝を曲げないと、下から腰を使うことができないのでご注意」という意味。江戸時代において女性に一方的に奉仕させるようなセックスは、否定されていたのです。
そして、
「男、手を隔てに入れて玉茎の届かぬ程に浅く突くべし。又その手にて、女を上へ上げたり、扨は手を抜いて取って、思ひもよらず玉茎を深く突き込み、腰を遣ふもよし」
男性器が深く入りすぎないように、手で女性のももを支えて浅く突け。時折手を離して深く突け…というのが、どうやら気持ちいい騎乗位のための重要なポイントのようです。
さらに、
「女の冷たき尻が男の温かなる内腿へ当たる故、女殊の外『よい気味じゃ』と言へり」
女性の尻は冷たいもので、そこに男の暖かい内腿が当たるので、どんな女性も快感を感じると書かれています。前述の「男性が膝を曲げる」というコツは、こんなところにも活きてくるのですね。
関連記事
いつもの体位をもっと気持ちよく!その4:座位
最後に愛を感じる体位として特に女性から人気の「居茶臼」・座位について、もっと気持ちよくする方法を確認してみましょう。
「女の腰を締めて、抱き上げるやうにすべし。是はよくよく女のよい気味やら、一度行ふて後は『いつぞやのように、抱いてして』と、好まぬ女が無くばござれ」
一度この体位をしたら、女性は必ずこの体位が好きになるとのこと。もし居茶臼を好まない女がいればお知らせください、とまで書かれているのです!江戸時代でも座位は、女性をトリコにする体位だったのですね。
「折節は、女の両手にて男の身を絡ませ、女を抱いて歩いて、女の腰を男の手にて働かせなどして、又、下に居てもよし。立って口吸ふてもよし」
「居茶臼からそのまま男性が立ち上がって、歩いてみるのもよいでしょう。女性の腰を、男性が動かすのもよいものです。キスも交わしやすい体位です。」と書かれています。
座位の状態で立ち上がる…この体位は現代では「駅弁」とも呼ばれていますね。すでに江戸時代から親しまれていたとは驚きです。ただし、
「男は、女締めたり抱いたりする故、気が行きそうで行かず。大方は空鉄砲にて仕舞ふなり」
男性がこの体位で射精するのは難しい、とも付け加えています。もしかしたらラブタイムでいくつも体位をチェンジさせる中の、最初の方に行うといい体位とも言えるかもしれません。
基本の四体位の満足度が上がれば、ラブタイム全体の充実度もアップ!?

さて『風流御長枕』から、現代でもメジャーな4つの体位を、もっと気持ちよくするテクニックについて紹介させていただきました。時には奇抜で刺激的な体位もよいものですが、やはりこの基本の四体位は大切にしたいですね。
江戸時代から続くセックスの体位は、特別な気持ちよさゆえに時代を越えて受け継がれている…とも考えられます。男女ともが丁寧に動くことを心がければ、より愛の深まるセックスとなることでしょう。
古き時代の知恵を、ラブタイムの参考にしてみてくださいね。
また、下記の記事では女性に人気の体位ランキングを紹介しています。こちらも参考に、熱いラブタイムを過ごしてくださいね。
「最高に気持ちいい」!?人気のセックス体位一覧はこちら
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。