チューベローズとは?

チューベローズは、メキシコが原産のリュウゼンカツラ科の植物。じつは球根植物でして、バラとはまったく無関係だったりもします。 7~9月頃になると草丈70~80cmの先端にスイセンにも似た白い花を咲かせます。
中国では「晩香玉」、台湾では「月下香」と呼ばれるように、夜が更けてくるほどに香りが強くなります。とくに月夜の晩に咲いた花はもっとも濃厚な香りを放つのだそうです。ちなみに、昼と夜では花に含まれる香りの成分それ自体が違うのだとか。
日本でも沖縄、高知、静岡で栽培されており、6月下旬から8月下旬にかけて八重咲きの観賞用の品種が花卉市場に出荷されています。チューベローズは6月16日の誕生花なのですが、これも出荷時期と関係があるのかもしれませんね。
そもそも日本には江戸時代後期にジャワ島を経由して渡来し、「ジャガタラスイセン」「オランダスイセン」の名前がつけられたそうです。
(ちなみに、ジャガイモの名前のルーツがジャカルだかジャワ島から伝わったからだという説がありますが、江戸時代の飢饉の際にジャガイモは「お助けいも」として登場していますから、関係あるのかないのかもよく分かりません。)もともとは、なぜか葬儀時の献花向けとして栽培されたというのが不思議でもあります。
チューベローズの花言葉
海外では花嫁のブーケやレイ用、あるいは香料用として古来より栽培され、ヨーロッパで品種改良がされた後に、現在ではモロッコ、インド、台湾、エジプトなどで生産・輸出されています。バリ島ではチュベローズを「スダップマラム」と呼び、ホテルのロビーに飾ったりもしているようです。
チュベローズの香りはジャスミンのような濃厚で、甘く熟したブドウの香りに似ています。成分的にはブドウの香り(アントラニル酸メチル)とジャスミンの香り(ジャスミンラクトン)とバラの香り(ゲラニオール)などが含まれています。

イメージとしてはホワイトフローラル(白い花の香り)となります。少し昔の話ですが、1979年にはキャシャレル社の香水 「アナイス・アナイス」などにも用いられています。
アロマテラピーでは、チューベローズの精油の効能を"平和な気分になる""ネガティブを取り除く"としています。
いまや高価すぎるくらい高価な精油で、わずか1mlでも5桁のお値段になってしまうほど貴重なものになってしまいました。
(これは狂牛病の影響により、油に香りを吸着させてエタノールで洗い出す方法が行われなくなったのも一因。)
…と、ここまで書けば、「チューベローズって上品で優しい花なのね」と、思った方。それは甘い!なぜならば、チューベローズの花言葉は "危険な楽しみ、危険な快楽、危険な関係、危険な遊び、火遊び"なのです。
チューベローズの妖憐な香りの裏側には、フェロモン香水のような禁断の部分がそっと控えています。これを彼氏に使うか、貴女自身でお使いになるか、それとも意中の人に使うか、信じるか信じないかは貴女次第です。
薬剤師。1969年東京薬科大学卒業。
1992年伝説のクイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)で最高得点を記録し優勝。これまで、調剤薬局運営や薬剤師ライターとして多数の健康雑誌に連載を持つなど活躍。