メープルシロップといえばカナダ
メープルシロップは、「シュガーブッシュ(砂糖かえで)」の木から取れた樹液が原料。じつは、世界のメープルシロップ製品の85%(年間約4万2000トン)がカナダで作られています。
カナダの国旗といえば、赤いメイプルリーフ(かえでの葉)が真ん中にどんと描かれたデザインでおなじみ。メイプルはカナダの自然のシンボルであり名産品という意味だそうですから、なんとなく分かる気がしませんか?
ちなみに、カナダでのメープルシロップの生産量の93%は、メープルの原生林が広がる東部のケベック州なのだそうです。ここは夏の日中の気温は35℃を超えるのに、冬は氷点下25℃という地域。この気温差の激しい環境がメープルの成育には適しているのだそうです。
メープルシロップができるまで
メープルの樹木はカナダの厳しい冬の寒さに備えるため、夏のあいだにデンプンを作りだし、樹の内部に貯えます。やがてデンプンは糖分へと変化します。夜の温度が零下数℃、昼間の温度が0℃を少し超え、雪解け水が流れ出す頃になると、冬のあいだは休息していたメープルは目を覚まします。
夜に木の内部が真空状態になるため、土壌から豊富な水分が吸い上げられます。昼間、温度の上昇によりきの内部が加圧状態となるため、夜に吸い上げられた水が糖分を含んだ樹液(これを"メープルウォーター"というそうです。)となって自然に流れだします。
これは、わずか1~2週間の現象ですが、この期間にメープルウォーターに1年分のメープメシロップの原料を集めなければなりません。昔はバケツを下げて人手によって採取していたそうですが、システムが近代化された現在は、木に穴を開けてチューブを差し込み、吸い出された樹液をポンプ小屋にある水槽に集める方法をとっているとのこと。
メープルウォーターには2~4%の糖分しか含まれていません。このため、シュガーハウスと呼ばれる小屋に運び、糖度が66%になるまで煮つめられます。これこそがメープルシロップ。
甘味料として最適
1リットルのメープルシロップを作るのには、40リットルの樹液が必要だといわれています。(ちなみに、メープルシロップをさらに煮つめて水分を飛ばしたものが「メープルシュガー」です。)
メープルシロップの一番の特徴は、その風味の上品さだと思いますが、栄養分を比較してみてみると面白いことが分かります。それは、100g当たりのカロリーは257kcalと砂糖(384kcal)やハチミツ(294kcal)より低いこと。
そして、黒砂糖よりは少ないものの、ハチミツと比較して、37倍のカルシウム、18倍のカリウム、5倍の亜鉛、18倍のマグネシウムが含まれていることです。
また、摂取後の血糖値の上昇度を示すグリセミック指数(GI値)は、白砂糖が99なのに対してメープルシロップは54。
それだけ血糖値が上昇しにくいことを意味しています。つまり、太りにくい甘味料といってもよいかもしれません。メープルシロップはホットケーキくらいしか出番がないとお嘆きの方、ぜひ日常の甘味料としても使ってみてください。
薬剤師。1969年東京薬科大学卒業。
1992年伝説のクイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)で最高得点を記録し優勝。これまで、調剤薬局運営や薬剤師ライターとして多数の健康雑誌に連載を持つなど活躍。