その昔、ザクロで掃除をしていた!?
ザクロは、イランやアフガニスタン辺りが原産。
旧約聖書にもその名が書かれ、すでに古代ローマの時代でも、花の美しさのみならず、有益な機能を持った貴重な果実として珍重されてきたという、長~い歴史を持ったフルーツなのです。
ザクロには種が多いのはご存じの通りですが、"種が多い=縁起がよい"とのことで、古代のヨーロッパでは「豊穣」の、中国では「子孫繁栄」のシンボルともされてきました。
日本には平安時代に渡来したといわれ、当時はフルーツとして食べたのではなく、銅鏡磨きに使っていたそうです。
ザクロのあの酸っぱさの元はクエン酸やリンゴ酸などの有機酸。これが汚れが落ちる秘密。

最近は、お酢の力でシンクの汚れを洗浄する洗剤も市販されていますが、原理は、じつはザクロとまったく同じなのです。
もともと、ザクロは熟した果実の皮の部分(果皮)と、幹・枝・根の皮を乾燥したものが薬として用いられてきました。
果皮は、漢方では「石榴(せきりゅう)果皮」と呼ばれ、煎じた液を下痢に用いたり、性器出血や帯下の止血やかゆみ止めに用いてきました。幹・枝・根の皮は、昔は寄生虫の駆除に用いましたが、毒性が強いため、最近はあまり用いられていません。
女性らしい魅力が上がる!?
ところで、ザクロの実やジュースが女性の健康にもよいことは、古来より知られてはいたものの、「ハトムギが肌あれやイボによい」といったような民間薬レベルの話の域を出ず、詳しい研究があまりなされていなかったようです。
変わったところでは、ザクロのジュースが酔い覚ましに効く…なんて話もあります。
近年、ザクロに化学のメスを入れてみたところ、その素晴らしさが改めてクローズアップされるようになりました。
ザクロには、特に種の部分にごくごく微量(国民生活センターが日本にある機械で分析しても、検出されなかったくらい微量なのだそうです。)の女性ホルモンに似た物質が含まれています。これが、ホルモンバランスを整えるサポートをします。
ですから、生理痛や生理不順といったホルモンバランスの乱れからくるお悩みにゆっくりと応えてくれます。
また、ポリフェノールの一種で、黄色い色素である「エラグ酸」という物質も含まれています。
エラグ酸には、肌のしみやそばかすの原因となるメラニン色素を作り出す酵素(チロシナーゼ)の過剰な働きを抑える働きがあります。

つまり、美白の効果も期待できるわけです。もちろん、即効性はありませんので、毎日、少しずつの量を継続して摂り続けることが大事。
女性としての魅力にさらに磨きがかかることでしょう。(女性専用ではありませんから、男性の方が召し上がっても問題ありませんよ。)
ところで、ザクロは日本産のものよりも、原産であるイラン(ペルシャ)で採ったものの方が機能性が高いようです。
これは、紫外線が強い地域で育ったものの方が、自分を紫外線の害から守ろうとする、自然の力により濃い色の果実となるからかもしれません。
薬剤師。1969年東京薬科大学卒業。
1992年伝説のクイズ番組『カルトQ』(フジテレビ系)で最高得点を記録し優勝。これまで、調剤薬局運営や薬剤師ライターとして多数の健康雑誌に連載を持つなど活躍。