九通りのセックステクニック、その七は『兎吮毫(といんごう)』。ウサギが細い毛を吸う様子を表しています。これだけだと、いったいどんな体位なのか想像もつかない、という方がほとんどではないでしょうか?では、具体的にどんなものか見ていきましょう。
「ウサギが毛を吸う」ってどんな体位?
「男性は仰向けに寝て、女性はその上に後ろ向き(背中を男性の頭側に向けて)で座ります。ややうつむいた姿勢で、女性は男性器を挿入します。動くときは、男性はGスポットを意識して突き上げるようにすると、女性は気持ち良さで泉のように愛液を溢れさせ、非常に喜び、感じます。これを女性が絶頂に達するまで行うと、男性はあらゆる病気にかからなくなります」
そう、これはあおむけになった男性に、背中を向けた女性がまたがって動く「背面騎乗位」なんです。ウサギが毛を吸う…という一文からは、なかなか想像しにくいかもしれませんね。
自分の好きに動けて、背中を向けたままなのでパートナーに感じている表情を見られなくて済む、という理由でこの体位を好む女性もいます。
また、背面騎乗位は男性器と膣の向きが一致するので、性器同士の密着度が高い体位です。女性は膝をつくことも、しゃがむこともできますが、膝をつくことでより深くペニスを挿入することができます。ですから、ポルチオ開発に適した体位とも言えるでしょう。
ポルチオを刺激する方法
ポルチオを刺激するためには、女性の上体をうつむきから真っ直ぐにして、男性にしっかり腰を突き上げてもらいます。その際男性には、単純なピストン運動ではなく、「男性器の先端で子宮の底を揺さぶる」というイメージを持ってもらうと、ポルチオをダイレクトに刺激できます。この時、女性の上体は不安定になるので、男性はしっかり支えてあげましょう。
ポルチオは女性がなかなか自分で触れることができない場所ですが、男性は男性器だけでなく、指でも刺激できることが多いようです。パートナーの刺激に任せるしかない部位ですので、ポルチオ性感に達するのは、なかなか難しいようですね。
Gスポットでも気持ちよくなれる
またこの体位では、ポルチオだけでなくGスポットも刺激しやすくなります。ちなみに「Gスポット=潮吹き」は迷信ですし、潮吹きできるかどうかにはかなりの個人差があるので、「Gスポットで感じているのに、潮吹きを経験したことがない……」と悩む必要はありません。
男性に指でGスポットを刺激してもらうには、「クリトリスの裏側」と指示するとわかりやすいようです。「スポット」と言っても、実際は五百円玉くらいの大きさの「ゾーン」なのです。
Gスポットにも大きな個人差があり、「無い」(極めて見つけにくい)女性もいらっしゃいますが、異常ではないので安心してください。むしろ、Gスポットを探そうと男性がムキになった結果、乱暴な愛撫になることがあるので、そうならないように、お互いに注意してください。ポルチオ開発も同じです。
ちなみに同じ体位のことを、江戸時代の四十八手では「月見茶臼」と呼びます。男性と女性が同じ方向を向くので、「二人で月見ができる」くらいの意味でしょうか。騎乗位や座位を「茶臼」と呼ぶのはなんとなくわかりやすい気がしますね。
■イラスト:フジワラアイ
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。