
江戸時代の日本では四十八手、古代インドの『カーマ・スートラ』では六十四手が紹介されていますが、戦国時代のセックステクニックマニュアル『黄素妙論』では、動物の名を冠した、九つの体位が紹介されています。体位を網羅したものというよりは、『黄素妙論』の基本思想である、「セックスを通して女性からエネルギーをもらう」ための体位の紹介になっています。
黄素妙論の体位 その一 龍飛勢(りゅうびせい)
女性を仰向きに寝かせて、股を開かせます。男性はその上から覆い被さって、まずキスをしてください。
女性は腰を持ち上げるようにして、男性が挿入しやすいようにします。
男性はペニスで陰唇やクリトリスを愛撫して、濡れてきたらゆっくりと挿入します。充分に前戯が施されていれば、女性は全身で感じるようになります。この時、男性がピストン運動をおこなえば、男女とも満足するでしょう。このピストン運動は「八浅六深」という方法がよいとされています。詳細は改めてご紹介します。黄素妙論では「心身健やかになることでしょう」とまで書かれています。
現代で言う正常位ですが、龍の名が付けられています。
黄素妙論の体位 その二 虎歩勢(こほせい)
女性をうつ伏せにして、男性はその尻のあたりにひざまずき、女性の腰を支えながら挿入します。そうして五浅六深(別項)の法をおこなえば、ヴァギナは充実して愛液が溢れてきます。男性も女性もイキやすく、男女の感情がお互いに通い合うでしょう。
現代の後背位には、虎の名が付けられています。
黄素妙論の体位 その三 猿たん勢
男性は座って、両脚を揃えて前に出します。女性はその上に、男性と抱き合うようにして座ります。この姿勢でお互いに愛撫し合ううち、女性が濡れてきますから、男性はペニスを挿入して、九深五浅(別項)の法をおこないます。すると女性の愛液も溢れ、病気さえ治ってしまうでしょう。
茶臼には、猿の名が付けられているのですね。
黄素妙論の体位 その四 蝉附勢(せんふせい)
女性はうつ伏せに寝て、両手をつき、左足を伸ばして右足を曲げます。男性はその尻にひざまずき、ペニスを挿入します。ヴァギナの入り口に刺激を与えることを意識して、七深八浅(別項)の法をおこないましょう。この体位ではヴァギナの中がうごめいて、ペニスが意外な場所に当たるので、男女とも満足するセックスができるでしょう。
後背位のバリエーションですね。蝉の名前がついています。
次回は、他の5つをご紹介いたします。どんな動物の名前がついたどんな体位なのか、どうぞお楽しみに。
また、下記の記事では人気の体位をランキング形式で紹介しています。こちらも参考に、彼と新しい快感を見つけてみてくださいね。
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1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。