前回に引き続き、戦国時代のセックスマニュアル『黄素妙論』における、セックスを避けるべき時と場所についてご紹介します。
セックスは安全な場所で楽しんでこそ。
以下のような場所ではセックスをしてはいけない、と言われています。

●神社仏閣、聖人や賢人の像の前などは神聖な場所
井戸やかまどのある場所(台所)や廁の近くには、神が棲んでいます。太陽や月の下などの屋外も、場所としてはふさわしくありません。これらの場所でセックスすると、神霊が男女に罰をくだします。
これらの場所でセックスをするのは現代人でも気が引けるかもしれませんし、そもそもセックスを無暗な場所でするものではありません。
『黄素妙論』の時は戦国時代。武将が屋外で行為をするのは、大変危険だったことでしょう。ただし…もしもこれが、当時の庶民に対しての禁止事項であれば、彼らはセックスができずに大変困ったことと思います。
当時の日本家屋は、プライバシー皆無の作りでしたので、なんと屋外での行為も基本だったのです。今では信じ難いことですね。
また、『黄素妙論』では神社仏閣の境内もよろしくないとされていますが、実際にこれらの場所は男女の出会いの場でした。ですから当時はセックスをする場所として使われていたのでは…と考えられます。
いずれにしても、無暗な場所でのセックスは危険も伴いますので控えるべきと言えるでしょう。
体調を十分に考慮してセックスをするべし
次は現代でも注意したい事柄です。こちらはぜひ覚えておきましょう。

- 悩み事があって気が滅入っている時
- 激怒して逆上している時
- 長時間歩いたり、長時間立って労働したり、疲労している時
- 深酒し、飽食して胃腸に負担をかけている時
- 病気が治って日が浅く、まだ体力が回復していない時
- 出産後一ヶ月間
体力と気力を消耗して、大病に陥るので、深く慎みましょう。
その通りでございます!こちらは迷信でも何でもないですね。戦国時代でなくても、このような時に無理をしてセックスをしてはいけません。セックスは体力を多く消耗させますので気をつけたほうがよいですね。
- 女性の髪が黄色い
- 肌が荒れている
- きわめて痩せている
- 生気を失ってやつれている
- 腋の下の臭いがきつい
- 女性器に潤いがない
- (血の混じった)おりものがある。
このような女性とセックスをすると、ペニスや性機能を傷めますので、深く慎みましょう。
…あまりにもひどい言われようです。ただ、現代でも気になる点はあるのではないでしょうか。おりものの状態については、女性にとって注意したほうがよい項目です。セックスをするよりも先に、専門の病院でしっかりと診てもらうべきだと思います。
『黄素妙論』は戦国武将向けに書かれているため、基本的に男性の性機能の心配しかしていません。しかし本来であれば、まずは女性の健康の心配をすべきなのです。おそらく、戦国時代であるから許されていたということも多いでしょう。現代においては自分のことしか考えない男性など、女性のほうからお断り…されてしまうかもしれないですよね。
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。