九通りのセックステクニック、その六は『鳳翔(ほうしょう)』です。前回に引き続き、四聖獣のひとつである鳳凰(ほうおう)が飛翔するさまを表しています。鳳凰は、中国では、聖天子が出現する時、この世に現れるとされています。日本人ですと、手塚治虫の『火の鳥』でイメージしていただくと、わかりやすいかもしれませんね。
鳳凰が飛び立つ=「だいしゅきホールド」!?

それでは、鳳凰の飛び立つ体位とはどのようなものか見ていきましょう。
「女性を仰向けに寝かせて、脚を上げてもらいます。男性はその股間にひざまずき、両手で体を支えて、男性器を深く挿入します。女性は両脚で、男性の体をしっかりホールドします。男性は深く挿入したまま動かず、女性が下から、三×八の計二十四回腰を使います。
すると、女性のお尻が男性の腰に、自然と密着するようになり、膣がゆるく開いて、愛液を溢れさせます。女性が絶頂に達したら、そこで止めます。こうすると百病も消滅します」
正常位の状態で、女性が男性に腕と足を絡め、ぴったりと密着するような体位です。 俗に言う「だいしゅきホールド」ですね。アダルトビデオでも人気の体位です。創作物では「妊娠してもいいから中に出して!」「俺の子産んでくれ!」のようなやりとりがみられることもありますが、特にこの体位が妊娠しやすいという根拠はありません。あくまでも単なるイメージですので、妊活中のカップルも、「フィニッシュは「だいしゅきホールド」じゃなきゃ!」なんて頑張らなくても大丈夫ですよ。
妊娠しやすい体位はあるの?
しかし、実際に研究で「妊娠しやすい体位」もわかってきていて、女性の子宮の形によって、二タイプあるそうです。
・前屈型の子宮
ほとんどの女性はこちらのタイプです。子宮がやや前方に屈曲しているので、正常位が妊娠しやすい体位となります。また、腰の下に枕を敷いて少し高くすると、子宮に精子がスムーズに入りやすくなります。
・後屈型の子宮
前屈型とは逆に、子宮がやや後方に屈曲している女性もいます。このような場合前屈型とは逆に、後背位や騎乗位の方が妊娠しやすくなるのだそうです。自分の子宮がどちらのタイプかは、産婦人科で調べてもらうことができようです。しかしもちろんこれが全てというわけではなく、体位よりも、「オーガズムに達したかどうか」の方がより関係が深いとする研究もあります。妊活に悩む女性には深刻な問題ですので、基本的にはかかりつけの産婦人科医さんと、自分の体の状態をよく相談す るようにしてください。
■イラスト:フジワラアイ
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。