さて、今回は男性が女性をより感じさせるために、注目していたポイントについてご紹介していきます。当時、女性の性感の高まりを知るには、『五徴・五慾・十動』を観察するようにしましょう、と言われていました。
肉体の性感の高まりを知るには『五徴(ごしるし)』を、精神の性感の高まりを知るには『五慾(ごよく)』を、絶頂に達するまでのプロセスは『十動(じゅうどう)』を観察する必要があるのだそうです。それでは、それぞれのサインについて詳しく見ていきましょう。
肉体の高まり『五徴』(ごしるし)
女性の肉体の性感の高まりを示すサインが、五徴です。本書では、そのサインに応じて、男性がどうすべきか説明しています。

- 1.女性の顔が赤くなったら、男性器を女性器にこすりつけましょう。
- 2.乳首が硬くなり、鼻に汗をかいたら、男性器を挿入しましょう。
- 3.女性の喉が渇き、唾を飲み込むようになったら、ピストン運動をはじめましょう。
- 4.女性器が潤ってきたら、奥深くまで挿入しましょう。
- 5.愛液が溢れ、お尻まで滴るようになったら、男性器を抜きましょう。
射精はしません。射精せずに女性だけをイかせることで、女性の精気を吸収するのです。
精神的な高まり『五慾』(ごよく)
女性の精神の欲情の高まりを示すサインが、五慾です。
- 1.抱かれてみたい気持ちになると、女性はひっそりと呼吸を止めます。
- 2.挿入されたい気持ちになると、鼻の穴と口が開きます。
- 3.十分に濡れて悶えると、体を小刻みに動かして男性を抱き締めます。
- 4.絶頂が近くなると、汗を流して衣服を濡らします。
- 5.いよいよ絶頂に達すると、体を突っ張って目を閉じます。
いかがでしょう?こちらも、現代の女性に十分通じるところがあるのではないでしょうか。
女性が達するまで…『十動』(じゅうどう)

女性が絶頂に達するまでのプロセスは、十段階あります。それぞれの意味は、以下の通りです。
- 1.両手で男性を抱くのは、体をぴったりとくっつけて、互いの性器を密着させたいからです。
- 2.両ももを伸ばすのは、クリトリスを男性の体にぐっと押しつけて擦りたいからです。
- 3.腹をピンと張るのは、イきたいからです。
- 4.お尻を動かすのは、感じているからです。
- 5.両脚を男性の体に絡めるのは、もっと深く挿入して欲しいからです。
- 6.両ももを擦り合わせるのは、中がムズムズしてどうしようもないからです。
- 7.体を横に揺するのは、膣の左右の壁を、亀頭で擦って欲しいからです。
- 8.身を起こして抱きついてくるのは、いよいよイきそうになっているからです。
- 9.体を反らして伸ばすのは、絶頂に達して手足がしびれているからです。
- 10.とめどなく愛液が溢れるのは、すでに絶頂に達したからです。
現代の生理学に照らしてみても、おおむね正確な観察ですね。平安時代にすでにここまでの観察がなされていたことに、驚きを感じます。女性のことを丁寧に考えてくれる男性の気持ちは、平安時代も今も変わらないのですね。
■イラスト:フジワラアイ
1970年生まれ。1996年より、漫画原作者として活動。2009年、日刊誌連載「日本性史」にて、アダルトライターとして活動開始。
スマートフォンアプリ「セックスの日本史」、女性向けWEBサイト連載「蔦葛物語」「オンナとオトコの日本史/世界史」などの著作がある。