本当にあった!ラブ物語

【第八話】甘い潤い

公開日: 2020/04/06  最終更新日: 2024/06/07
本当にあった!ラブ物語
     
    第一章 カラダの記憶

    窓際の陽当たりのいい位置にベッドを移し、その隣に新しく買ったアンティークの椅子を並べ、その上にさっき届いたばかりのジェルを置いた。

    トン…というその音が、体中に波紋のように広がる。このジェルを買ったのには、理由があるからだ。

    同棲中の彼とは、仲が良い。毎日一緒にいても会話も笑顔も絶えない。けれど、ベッドに入ったとき、体調によっては、自分の潤いが少ないのではないかと感じる。時には、彼を体の中に受け入れているとき、痛いと感じることもある…。

    第一章 カラダの記憶お悩み解決バナー

    でも、愛し合いたい気持ちは、もちろん、ある。だから、多少の不快感があっても、体を重ねている。

    しかし1週間前、心から彼と触れ合いたいのに、彼の体を感じたいのに、自分の中のどこかから声が聞こえてきた。(また、痛くなるかも。ちょっと、気が乗らないな)と…。

    その声は、行為が終わった後も心の奥に引っ掛かり、ジェルを買うことにした。(このジェル、いい対策になるかな…)

    模様替えで整ったベッドルームを、少しゆがんだ気持ちで眺めていたこのときは、あんなに愛しさに包まれる夜がやってくるとは、思っていなかった。

    第二章 夜の入り口

    その夜、家具やインテリアの配置が変わって少し新鮮な空気のベッドルームに入ると、彼はベッドサイドのチューブにすぐに気づいた。「ねぇ、サチ、これ何?」「あ…ジェル。あのね…」

    どうして買ったのかと訊かれると思い、用意してあった答えを話す前に、彼は「へぇ」と嬉しそうに手に取り、「楽しそうじゃん、使ってみようよ」と続けた。

    これまで、ローターなどに興味を示していた彼は、私がなぜそれを買ったのかということは、本当に気になっていないようだった。まるで子どものように、「早くおいでよ」と好奇心が光る瞳をこちらに向ける。

    伸ばされた彼の手に、反射的に手を添えて、私もベッドに乗ると、グッと引き寄せ口づけられた。「サチが、こういの、自分から用意してくれるの、俺、本当に嬉しい」

    第二章 夜の入り口

    絡ませる舌が、いつもよりも強く私の舌を吸い上げる。その引力に、「康太…」と彼を呼ぶ私の声も、吸い込まれていくような気がした。

    私たちは、キスをしながらお互いの服に手をかけ、脱がせ合い、そのまま、お互いの肩から胸に、何十回も口づけあった。

    「ねぇ、サチ、使ってみてよ」ジェルのチューブを手に取ると、康太は私にそれを握らせる。

    視線を絡ませながら小さく頷き、ジェルを手に取る。少しひんやりとした感触が、すぐに手の体温に馴染んで、私はそのまま自然に彼自身を包み込んだ。

    「ぁぁ…」ジェルを馴染ませるように何往復かするうちに、彼の口から甘い息が漏れる。

    「サチ…これ、すごくヌルヌルしてきもちいい…」

    第二章 夜の入り口

    うっとりとした顏でヘッドボードに上体を委ね、康太は私の髪を撫でた。恍惚が浮かぶその表情に、私の手は、硬く充血した彼自身だけでなく、その根元にあるボールにまで伸びていく。

    「ぅぅ…ぁ…いい…すごくいいよ…」軽く身をよじった康太の顏には、うっすらと切なさも浮かび始めていた。

    第三章 夜の奥

    「舐めさせて」表情だけでなく、声にも切なさを交らせて、康太はシックスナインの体勢へと持ち込む。

    第三章 夜の奥

    「あぁぁ…っ」彼の舌に泉を吸い上げられながら、私は、彼自身をジェルで包み、根本のボールにしゃぶりついていた。

    お互いをむさぼる息が、全身を包み込むほどに熱くなった頃、康太が「このジェル、めちゃくちゃきもちいい。サチのここにも塗ったら、サチも、きもちいいかな」と質問のつもりなどない言葉を口にすると、チューブに手を伸ばして、私の真ん中にたっぷりと塗る。

    そして、敏感に硬くなっためしべを舌でチロチロと弄びながら、その周りと泉を柔らかな指先で愛撫する。

    「ぁあ…」身をよじるほどの快感に、私は、しばらく全てを委ねた。

    「ねぇ、いれたい…」熱の増したカラダの向こうに聞こえる彼に荒い息で頷くと、康太は私を仰向けにして、真上からまっすぐに侵入する。

    第三章 夜の奥

    「あぁぁ…」デュルッと奥まで流れるように届き、泉の底を突く彼自身が、そのまま背中を通って頭を突き抜けていくようだ。

    「すごい…すごいヌルヌル…」彼の声に、私の口からも思わず「きもちいい…」と息が漏れる。「サチがきもちよさそうにしてると、俺もきもちいい…」声以上に甘さの漂う康太の表情が、私の感度をさらに上昇させた。

    第四章 甘い眠り

    何度も体位を変えてから果てると、康太は、私をその腕に抱き寄せる。

    「これ、すごくよかったね」と改めてジェルのチューブを手に取ると、「ラブスライド…っていうんだ」と満足気に呟いて、私の髪にキスをした。

    第四章 甘い眠り

    そのまま、ギュッと両腕で私の全身を抱きしめと、康太は「いれてるとき、サチの中に、全身まるごと入っちゃいたいって思った」と囁く。

    「今だって、このまま ひとつにくっついちゃえばいいのにって。そう思うよ」

    愛する人の声と、たっぷりと潤ったままのカラダと、すべてに、甘く柔らく全身を包み込まれたまま、私は、眠りに落ちた。

    ~第八話・完~

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