本当にあった!ラブ物語

【第四話】幸せの粒

公開日: 2020/04/03  最終更新日: 2024/06/07
本当にあった!ラブ物語
     
    第一章 女の勘

    「夕飯、何にしよう…。祐二、今日も帰りが遅いみたいだし、心配」ソファーでレシピを検索しながら、私は、半年以上も続いている寂しい夕飯の風景を脳裏に浮かべていた。

    最近の夫は、仕事が忙しく、帰宅が11時頃になる。その後の夕飯では、会話は弾まない。そんな様子だから、ベッドで夫に求められることもないし、私から誘っても断られてしまう…。

    第一章 女の勘お悩み解決バナー

    その夫婦関係が苦しい気持ちが半分。夫の体を心配する気持ちが半分。そんな気分でレシピを調べていたら、とあるものに辿り着いた。私はサプライズを思いついた。

    「ねぇ、これ一緒に飲もう」サプライズを思いついた時から数日後のこの時まで、自分でも不思議なほどワクワクしていた。その高揚感は、「これを一緒に飲むだけでも、何か私たちの今の状態に突破口が開くのでは…」という女の勘によるものかもしれない。

    それでも、実行の瞬間は、緊張が走る。一緒に飲もうと明るく差し出した手の平は、少し震えている。

    「サプリ?」「うん。最近帰りも遅いし、早く寝ちゃうから、祐二。心配だったの。」少し戸惑いながらも、「ありがとう、紗英」と手を出す夫にサプリメントを渡した。

    この時はまだ、思いもよらなかった。あの高揚感をはるかに上回る情熱を交わす日が、やって来るなんて…。

    第二章 半年ぶりの距離

    サプリを飲み始めてしばらく経った頃。最初は、夫が三日坊主になったら私が全部飲めばいいと思っていた。しかし、いざ蓋を開けてみると、時には夫から催促される日もある。それに、夫の表情も日増しに明るくなっていくように感じる。

    第二章 半年ぶりの距離

    「ねぇ」夕飯の片づけをしていると、後ろから夫に抱きしめられた。「え?」手が止まる私をよそに、夫は、エプロンの上から両方の胸をまさぐる。久しぶりに実感する夫の手つき。手の平と5本の指が、体の芯にまで伝わってくるようで、思わず吐息が漏れる。

    耳にそっと舌を這わせながら、右手だけは胸から離れ、ワンピースのすそをまくり上げて下着へと伸びていく。「ちょ…ちょっと、祐二…こんなところで…」言葉では小さく抵抗しながらも、体は、夫の動きに従順になっていた。

    「こんなところじゃ、ダメなの?」言いながら夫の右手の指は、下着の中へと忍び、左手は器用に服の上から乳首を探り当てている。「あぁ…」声まで漏れる私に、「ほら、濡れてきたよ、紗英」と囁く夫の息も、ずいぶんと湿り気を帯びている。

    首筋に吸いつきながら、夫は、「ねぇ、紗英。ベッドに行って仲良くしよ」と、甘えるような、それでいて強引に誘うような声を出した。

    第三章 ほとばしる想い

    ベッドに乗ると、夫は、一気に私の服を脱がせた。仰向けに寝かされ、柔らかく揺れる胸に夫の顏が埋まる。柔らかな膨らみにいくつものキスマークが残して、そのまま夫は、私の全身を、食べるように愛撫した。時々甘噛みをされると、私の全身にはビクリと電流が走るような快感が駆け抜け、夫にしがみつく。

    「舐めさせて」こらえきれず、私は、夫自身に手を伸ばす。「俺も」と、夫は、溢れ出る私の泉に顏を寄せ、私も硬く充血した夫を口に含んだ。「紗英、すごい。びちょびちょだよ…美味しい」その言葉に、私は、さらに強く夫に舌を巻きつける。

    「あぁ、紗英…俺、もう…ほしい」夫は、もう一度私を仰向けにすると、半年ぶりに、私の中に沈み込んできた。

    第三章 ほとばしる想い

    「嬉しい…」泉の奥を何度も突かれながら、私の口からは、素直な気持ちが声になってこぼれた。久しぶりに女として求められている幸せと、全身の細胞が感じている快感とで、目からはひと筋の涙が伝う。

    「泣かないで…紗英」夫は、私の目元に顔を寄せて、涙の筋をそっと舌で舐めとると、そのまま体を密着させて私を抱きしめた。

    「俺、セックスしたくないわけじゃなかったんだ。ただ、…紗英を満足させる自信がなくて…。愛してるからこそ、男として、ちゃんと満足させたいって。…そう思うと、なかなか誘えなかった」途切れ途切れに話てくれる夫を、できる限り強い力で、抱きしめ返す。

    その夜、私たちは、浅い眠りにまどろみながら、何度も愛し合った。

    第四章 続く幸せ

    1ヵ月後。

    「ねぇ、紗英、開けてみて」やけに嬉しそうに帰宅して早々に、夫は、淡いストライプ柄の紙袋を差し出した。その勢いに押されて、私は、黙ってその袋を開ける。「え?ランジェリー?」赤いレースのブラが見えて、思わず手を止めて夫のほうを向く。

    「うん、プレゼント。紗英が買ってくれたサプリ…ムクナスイッチのお礼、かな?」照れくさそうにしながら、両腕を広げて近づき、夫は私を強く優しく抱きしめた。

    「あれ、俺にすごく合ってるみたいで。仕事でも、最近けっこう冴えてるんだよね。ほんと、ありがとう。気遣ってくれているっていう気持ちが嬉しかった。紗英、最高の妻だよ。」

    あまりにストレートな夫に、恥ずかしさがこみ上げてきてしまい、私は顔が熱くなるのを感じる。「ねぇ、これ、今つけて見せてよ」返事を聞く前に、夫は、私を抱きかかえてベッドルームへと歩く。

    第四章 続く幸せ

    「俺、紗英が俺を心配してサポートしてくれるのが本当に嬉しくて。紗英を欲しい気持ちが、どんどん止まらなくなってきてるんだよね。…今夜は、覚悟してよ?」と甘く囁きながら。

    ~第四話・完~

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