本当にあった!ラブ物語

【第三話】溢れるカラダ

公開日: 2020/04/03  最終更新日: 2024/06/07
本当にあった!ラブ物語
     
    第一章 ピリオドへの一歩

    夜の11時半。ようやく家事を終えてべッドに入ると、夫がいびきをかいている。ほんのりと人肌に温まった布団をかぶると「もう、5年もしていない…」と思わず声に出た。

    夫に聞こえたのではないかと、瞬間ひやりとして、いびきの音に安堵すると、沈むように眠りに落ちた。

    朝、夫を起こさないようにベッドから出る。「疲れてる…?」バスルームの鏡に映る自分は、どこかたるんでいる気がする…。

    第一章 ピリオドへの一歩お悩み解決バナー

    (スキンケアだけの問題じゃないんだよね、きっと。今の私、満たされてないんだもん…) スタンドミラーに映る自分を直視できずに、私は、そそくさと着替えを終わらせた。

    ―――数日後の夜。「ねぇ」自分の声よりも近くに、心臓の鼓動が響く。久々に同じタイミングでベッドに入った夫の背中に、手を伸ばす。

    「ん?」疲れをにじませて振り返る夫から、私は、思わず手を引っ込めた。(誘っても、拒否されるのかも…。ため息をつかれたり…呆れられたり…)一瞬にして、いくつもの悪い想像がよぎる。<
    (声なんて、かけなければよかった…)後悔の念が、燃え上がりそうな温度で、指先に宿った。

    でも、このときには、想像できなかった。指先に宿る熱よりもはるかに熱く愛し合うことになるなんて…。

    第二章 勇気の…その先

    「どうしたの?美香」夫の小さな声が、耳に痛く響く。「あ、ごめん、疲れてるね、正人」

    夫よりもはるかに細い声で言葉を返すと、「何か、言いたいんでしょ?」と、暗闇の中、夫が私を見ているのが分かる。

    「うん…あのね…」話しても話さなくても、眠れない気分になるのは同じのような気がして、思い切って切り出した。

    「エッチしたい」子どもがそろそろ大きくなったから…、5年もしていないし…、夫婦なんだし…。そういう、言い訳にも責め言葉にも聞こえる言葉は、何も口に出さないと、決めていた。

    暗闇の中に、夫の小さなため息が落ちた。次の刹那、涙が瞳の奥にこみ上げてくる。

    第二章 勇気の…その先

    「俺…」かすれた声で、夫は、「俺も、このままじゃ、よくないなって、思ってた」思いがけない、あまりにも意外な言葉だった。「そうなの?」

    暗がりの中で夫のほうを向くと、彼の大きな手のひらが私の頬を探り当てる。そして、半分柔らかい、半分は乾いた唇が、私の唇に重なった。私は、5年ぶりの夫の直(じか)の温もりに、感動という言葉が一番しっくりとくる気持ちになっていた。

    「一瞬で全部思い出すよ、美香の体の全部…」「うん…」短い私の返事は、少し涙声になっていた。

    第三章 魅惑、キラリ

    「で、これ、実は買っておいたんだ。でも、俺から声かける勇気なかった。ごめん…」ベッドサイドのライトをつけると、チェストから何かを取り出しながら、夫はひと息に話した。「リュイール・ホット…っていうんだ」

    不思議顔をする私に、「すっごく、熱くなっちゃうんだって、美香が」と、夫は意味深に目を合わせた。

    「広げて」たっぷりと全身を愛撫した後、夫は、私の両脚を開く。「恥ずかしい…」脚を閉じようとする私を制して、夫は、少し意地悪な視線を向ける。

    「いいから…こうして、塗るんだって…」キラリと光るジェルを乗せた指先を見せた後、夫は、もう一方の手でそっと私の花びらを開くと、その奥に隠れていためしべにそっと触れた。そして、ゆっくりと優しく、円を描くようにめしべを撫でる。

    「あぁぁ…」じんわりと、めしべが、不思議な熱を帯びていく。「クリトリス、すごく充血してるよ…トロトロ溢れてきてる」

    私の顔と感じている部分とを交互に見ながら、夫は、さらに柔らかく指を馴染ませるように、めしべを愛撫し続けた。

    第三章 魅惑、キラリ

    「あぁぁ…ねぇ…ダメ…そんなにしたら…イッちゃう…」シーツにしがみついて、私は、必死でカラダが高まっていくのをこらえる。「いいよ…イク顏、見せて」その言葉に、私のめしべはドクリと暴れて脈打ち、弾けた…。

    「美香、すっごくキレイ…」甘い息と共に、溢れる泉に夫が侵入する。「あぁぁ…」夫が入ってきた瞬間から、泉の中は、経験したことのない吸着感で満たされた。

    「あぁ…久しぶりの美香の中、すごくあったかい」苦しそうな声と表情で、夫も、快感を高めていく。後ろから、向き合って座って、ベッドの脇に立って…。私たちは、息と汗とを混ぜ合いながら、繋がり続けた。

    第四章 心の距離、体の距離

    その後、リュイール・ホットは、ベッドサイドに常備されている。夫が指に魅惑の光を放つジェルを乗せ、クリトリスだけでなく泉の中までたっぷりと愛撫してくれる夜…。

    夫自身の先端に快楽へと誘うジェルを光らせ、そのままクリトリスを撫で、こね回し合うように腰をうねらせる夜…。

    第四章 心の距離、体の距離

    セックスレスだった5年間、夫は、毎日のように一緒にいながらも、どこか遠いところにいる人のような気がしていた。けれど、体という糸は、お互いを一瞬で引き寄せ合い、重なり合わせる。男と女は、夫婦は、セックスによって、こんなにも近くなることができる。

    夫をみるたび、情熱的なシーンが脳裏に浮かび、出会ってから今までで一番、夫を愛しているような気がする。

    ~第三話・完~

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