本当にあった!ラブ物語

【第五話】未来へと続く香り

公開日: 2020/04/03  最終更新日: 2020/08/06
本当にあった!ラブ物語
     
    第一章 誘惑の唇

    「うん、これでいいかな」鏡の中の自分と目を合わせて、頬にそっと触れる。メイクの仕上げに塗ったリップグロスをポーチにしまうと、スマホがメッセージを受信した。《あと5分で着くよ?》

    今日は、1年前から付き合っている彼、翔太とのデート。去年の私の誕生日に付き合い始めて、また今年、彼に誕生日を祝ってもらうことができる。その嬉しさに鼻歌が混じりながら、私は、自宅に鍵をかけて道に出た。

    目の前に止まった翔太の車に乗り込むと、「誕生日おめでとう」と彼が頭をポンポンとしてくれる。肩をすくめて「ありがとう」と目を合わせると、私はシートベルトを締めた。

    第一章 誘惑の唇お悩み解決バナー

    「琴子、今日、いつもと違うの、つけてない?今日の唇、めっちゃプルプル」信号待ちで、彼が私の頬に左手を添えて、顏を近づける。「あ、しかもいい匂い」唇のすぐそばまで近づく翔太の顏にドキッとして、思わず唇が震えてしまう。

    車の小さな振動と心臓の鼓動が妙に重なったこの時は、まだ、思いもよらなかった。まさか、この鼓動が何倍にも速くなるサプライズが待っているなんて…。

    第二章 予定と欲望と

    「ほら、やっぱり何かいつもと違うの、つけてるでしょ?」そのまま口づけた翔太は、「美味しいし」と瞳を少しいたずらっぽく光らせた。

    「なぁ」しばらく走り、何度目かの信号待ちで、翔太は、私の太ももに手を伸ばす。「琴子、今日、俺、我慢できない。誕生日だし、プラン考えて、食事の店も決めてたけど、先に琴子のこと食べたくなった。…ホテル行かない?」

    疑問形だったにもかかわらず、彼は、ホテルの方向へと車を向ける。「まだ返事していないよ~」からかうように笑いながらも、私の心の奥には嬉しさがこみ上げた。

    ホテルに入ると、翔太は、いきなり私を抱きしめる。「今日の琴子の唇、たまんない…」

    重ねた唇の間から漏れる彼の声から、欲望を必死で抑えているのが伝わる。

    第二章 予定と欲望と

    それでも右手は、衝動を抑えられないとでも言うように、私のワンピースを一気にたくし上げ、ブラの中へと指先を忍ばせる。背中に回された左手は、腰からヒップへと下り、器用に下着まで辿り着いた。

    次々と肌を覆うものを脱がされ、柔らかい指先で敏感なポイントをいくつも刺激されながら、私は、一瞬ごとに息が荒くなる。甘い息を漏らしながらも、私は、「ねぇ、お風呂…」とお願いした。

    第三章 食べたい唇

    お風呂の後、翔太が先にベッドへと向かうと、私はバッグに忍ばせていたボディミルクを全身に塗る。そして、軽くメイクをチェックして、キス専用美容液『ヌレヌレ』を唇に乗せた。

    第三章 食べたい唇

    「あ、さっきの匂いだ」翔太は、私がベッドに入るなり、気づく。「車の中じゃないし、ここなら、いくらでも琴子の唇、吸っていられる」

    そう言うと、彼は、上と下の唇にそっと舌先を這わせた後、私の唇を全て覆うようにキスをした。「美味しい…」と息を吐き、舌を絡ませ、唾液をジュルッと吸い取り、「琴子のこと、全部食べちゃいたい」と、首筋を甘く噛む。

    第三章 食べたい唇

    「ねぇ、琴子…」首のあちこちにチュッと音を立てながら、彼は私を呼んだ。「ん?」

    息と声の混じりで応えると、彼は「何でもない」と私を抱きしめる。

    「何?言ってよ」と催促する私に、翔太は「ううん…ただ、可愛くて」と、両手で私の頬を包んだ。その手は、頬から胸へ、乳首へ、さらに背中を通ってヒップをゆっくりと撫でる。そして、一気に両手で私の2本の脚を広げると、その間に顔をうずめた。

    第三章 食べたい唇

    「こっちも、いい匂い」クリトリスを、舌先でチロチロともてあそびながら、「もうこんなに濡れてる」と愛液のにじむ熱い泉の入り口に、指先で何周も円を描く。

    その後も、彼は、私を愛撫しながら、私の中で暴れながら、そして果てた後も、何度も何かを言いかけて「何でもない」と私を抱きしめた。

    第四章 その先にあるもの

    ホテルを出て、私たちは、翔太が予約してくれたレストランで食事をしている。

    窓に映る自分の顔が、愛された直後だからなのか、艶めいて見える。デザートを待っていると、翔太が、ベッドの上にいる時と同じ声で「なぁ、琴子」と私を呼んだ。

    第四章 その先にあるもの

    「ん?」と彼を向くと、その手には水色の小さな箱。「え?」と私が短く言うのと、彼が「これ」とかすれた声を出すのが、同時だった。

    まっすぐに差し出された彼の手から箱を受け取り、開けると、中にはリングが収められている。

    「琴子のこと、全部俺のものにしたいんだ。髪も肌も、唇も、もちろん心も。本当に愛してる。琴子が困った時には、いつでも俺がそばにいたい」

    そこまでひと息に言うと、彼は、ゆっくりと息をついて「結婚しよう」と私の目をまっすぐに見つめた。

    幸せに浸りながら、私は、バッグにあるボディミルクやリップグロスを脳裏に浮かべた。彼が好きで好きで、ずっと一緒にいたくて、こっそりと自分磨きを始めた時のことを思い出しながら。

    数秒間、目を閉じ、心の中を翔太だけでいっぱいにしてから、目を開ける。視線をしっかりと結んだまま、私は、ゆっくりと頷いた。

    ~第五話・完~

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