本当にあった!ラブ物語

【第十二話】柔らかく白い宝石

公開日: 2020/04/06  最終更新日: 2024/06/07
本当にあった!ラブ物語
     
    第一章 薄い体

    「奈央、最近、体つらくない?」出勤前の夫を見送りに出た玄関で、夫が心配そうな視線を向ける。

    「大丈夫だよ」きょとんとする私に、夫は「最近、体が薄い感じがしてさ」と私の肩に手を伸ばし、「大丈夫ならいいんだ」と軽く抱きしめてから出かけていった。

    第一章 薄い体お悩み解決バナー

    2人の娘を幼稚園に送り届けて帰宅し、家事をしながら寝室に入ると、ふと鏡に映る自分の姿が目に入る。「細いを通り越して、薄いか…」元々細身とはいえ、やはり、ショックのため息がこぼれる。

    うっすらと肋骨の感触を覚えながら胸元に手を当てたこの時は、数ヵ月後、同じ鏡の前でまるで違うため息をつくことになるとは、思いもしなかった。

    第二章 心の奥の憧れ

    その日は、家事をしていても幼稚園から帰った子どもたちと過ごしていても、朝の夫の言葉が頭から離れなった。

    かなり細身で胸が小さい自分のスタイルも、その胸が娘たちへの授乳後さらに小さくなったことも、ずっと自覚している。けれど、夫に「薄い」と心配されるほどの体になっているのかと思うと、女としてはやりきれない切なさがこみ上げてくる。

    「気が向かないし、時間もないしなぁ。」眠る前の抱っこをせがむ次女の手が、雑誌のエステマッサージの広告のページを偶然開く。やはり、そこまでするのは躊躇するというのも、確かな本音だった。

    (でも、何か、ないかなぁ)夫の声を脳裏によぎらせながら、子どもが寝付いた後、残業で帰りの遅い夫を待ちながらバストについてあれこれと検索する。

    第二章 心の奥の憧れ

    「ん?」≪お風呂上りにささっと手軽に≫という言葉が目に留まる。

    (バストマッサージに使えるジェル…か。お風呂上りなら、子どもがいても無理なく使えるかな…)少し期待しつつも、ほとんどぼんやりとページを読み進めていくと、≪憧れだけでは終わらせない≫というひと言が目に入る。

    目が一回り大きく開き、胸が締め付けられながら熱くなる。(私、柔らかくて豊かな胸に、こんなに憧れてるんだ…)そう気づいてしまうと、夫の言葉が心の深くにまで一気に突き抜け、その勢いで私は購入ボタンを押した。

    第三章 夜が待てない

    数ヵ月後の結婚記念日。久しぶりに、両親に娘たちを預けて夫婦でデート。夫が予約してくれたレストランでランチをとり、街を歩いていると、「ねぇ、子どもたちの帰り、7時だっけ?」と夫が腕時計を見る。

    「うん。お母さん、夕飯も買ってきてくれるよ」夫の手元を覗き込むと、時計は2時を少し回ったところだ。「ねぇ、奈央。早めに家に帰ろうか」

    第三章 夜が待てない

    時計から目を離すと、夫はその腕を私の肩に回して、そっと抱き寄せた。そして、髪にさり気なくキスをしながら、「今日の奈央、すっごくキレイ。夜が待てないんだ」と囁く。

    数年ぶりに着たワンピースごと、ふわりと浮いてしまうのではないかというほど、照れくささが全身を駆け巡った。

    第四章 快楽の海

    帰宅してシャワーを浴びると、夫は、バスローブを羽織っただけの私をベッドへと抱き上げる。「奈央、ほら、見て」ベッドの上で私を膝立ちにさせられると、正面にある鏡に気づく。

    「やだ…」胸を隠そうとする腕を遮ると、夫は、私のふたつの小さなふくらみを、後ろから左右の手の中に収める。

    「柔らかい…」優しい声で、夫が甘く耳を噛んだ。「それに、奈央のおっぱい、最近戻ってきてるような気がしてたんだ。今日の胸元の開いたワンピースでも、すごく素敵だったよ」

    「恥ずかしい…」と身をよじる私に「見てごらんよ」と促しながら、夫は、膨らみの先端をそっとつまむ。「あぁ…」

    第四章 快楽の海

    耳と胸の先端を同時に刺激されて、意図せず吐息を漏らしながら、私は鏡に目を向ける。この数カ月間、『プエラリア・エクストラ・ハーバルジェル』でマッサージケアをしてきたバストに、夫も気づいてくれていた。

    その喜びが、自分の体に重なる夫の手から、こぼれてくるように見える。「マシュマロみたい」膨らみ全体を、もう一度手で包み込むと、夫は、首から背中へと、スーッと舌を滑らせる。

    「あぁぁ…」体の芯の力を抜くような舌使いに、思わず膝を崩しそうになる私に、「感じてる奈央の顏、いやらしくてかわいい」と、夫の片手は改めて私の顏を鏡に向けた。その手から伝わる意志は、私の中にある甘い従順を刺激して、鏡を凝視させる。

    第四章 快楽の海

    「はぁぁ…っん」膝立ちのままの私を片腕でしっかりと支えながら胸を愛撫し、もう一方の手は体の中心に添え、泉の中を掻き回す。

    「立っていられない…」倒れ込む私から体を離さず、夫は、全身への愛撫を続けた。 瞼の裏が真っ白く光を放つほど、長く優しい愛撫の海が、どこまでも広がる。

    「愛してる」目が合った瞬間、同時に言葉にして、夫は私の中に沈み込むと、快感の海は、底から脈を打ち、果てしなく大きな波が行き来した。

    「奈央…イク…」「私も…」息が落ち着くと、夫は、白く膨らむ胸にもう一度口づけ、「やっぱり、すごくキレイ。もちろん、どんな奈央だってかわいいんだけど」と笑う。

    私の目には、その白さも膨らみも、宝石のように輝いて見えた。

    ~第十二話・完~

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