私、アレ作ってます。

『アレ』を作る中の人が、最初にアレと出会った時とは… バイブ職人『皮エミ。』さんとラブグッズの出会い!

公開日: 2021/02/22  最終更新日: 2021/04/23
【2話】初めてアレを買う
     

    初めてのアレ

    ※※画像:210205_2-1

    初めてアレを買ったときのことを、今でも覚えている。

    二十代前半の頃。

    下着を買おうと見た通販雑誌の後ろのページに、
    アレがひっそりと載っていた。

    ショッキングピンクの棒アイスのようなアレには、
    こけしのような顔がついていて、
    全体にエンボスのハート柄があしらわれていた。

    横にはさり気なく「微少年」という謎のネーミングが、 筆文字で書かれていた。

    「なんだこれは!」

    バイブレーターというのは知っているが、
    控えめな顔立ちの「微少年」が
    回ったり突いたり、ハレンチなことをしてくれるなんて!!

    なんかすごい。

    私は、申し込みハガキに
    痩せて見えるガードルと谷間を作るブラジャー。
    最後に迷わず「微少年」の商品番号を書いた。

    そしてそっとカバンの中にしまった。

    アレを扱うのも恋と同じ

    ※※画像:210205_2-2

    その日、すぐにポストに投函すればよかった。
    でもなぜか考えこんでしまった。

    「微少年」の価格は二千五百円。
    当時の私にとって、安くはない買い物。

    ガードルは肉を締め付けて痩せて見せてくれる。
    ブラジャーは谷間を作ってくれる。

    でも「微少年」は私をどうしてくれるのか、検討がつかなかった。

    一週間後、覚悟を決めてポストに投函。
    数日後には段ボールに入った「微少年」と初顔あわせ。

    透明のケースを開けるときは、ドキドキした。
    こけしのようなまっすぐ切りそろえられた髪型と、
    切れ長で細い目。

    じっと見つめあった後、初の取組。

    「微少年」とか言いながら~、「好青年」レベルの刺激なんじゃなーい!?
    もう、このこのー!!

    そんな期待も崩れ落ちた。

    入らなかったのだ。
    大きすぎて。

    おそらく全長約17センチくらい、直径の最大部は3センチ以上
    あった気がする。

    初日は無残な結果だったが、アレを使うのも恋愛と同じ。
    試運転を続けていたら、少しずつ「微少年」を操作できるようになった。

    使用後は丁寧に拭いて、タンスの奥にしまった。
    出すときはまた切れ長を見つめながら、丁寧に扱った。

    回数が増えるにつれて、私とアレの距離も縮まった。

    ※※画像:210207_2-4

    まるで恋だった。

    と同時に、使い過ぎて簡単に壊れてしまった。

    当時、恋愛経験なんてほぼなかったけれど、
    きっと恋も同じなのだと思った。

    大切にしないと、どちらかが壊れてしまう。

    その数年後、私は仕事でソレを作ることになる。
    毎日デザインを考えたり、市場調査をしたり。

    そのときには、もう市場のバイブレーターから顔は消えていた。

    でも、いつもバイブを作るときに思うのは、
    私が初めてアレを手にしたときのドキドキを、今、この瞬間でも感じる人がいる、
    ということ。

    ※※画像:210207_2-3

    あと、切れ長の目はないけれど、無機質でおしゃれなデザインになってもまだ、
    私はアレを見つめている。

    まだ何か素敵なことができるのでは?という期待をこめながら。

    皮エミ(カワエミ)
    皮エミ(カワエミ)

    皮エミ(カワエミ)。コスメ、ラブグッズの企画、開発担当。現在18年目。グッズアドバイザー森沢さんと、開発者花川さんの間にいる。エッセイ、コラム、イラスト、4コマ漫画など多数対応。現在もスタッフとして奮闘中。

    ●Instagramアカウント:emikwkw76→イラスト、4コマ、絵本

    ●note:https://note.com/emikw→少し濃いエッセイ。全体的に性的な視点が多くあります。NGな方はお控えください。

    ※お仕事依頼はInstagramのDMまで。