18年もアレを

18年もアレを作ってきた人、というと、
頭の中はエロスに満ちあふれ、常にエロいことを考えている。
……と思う方は多いと思う。
でも意外に淡々としている。
アレを作ることは、顔の知らない大勢の女性を喜ばせ、
お悩みを解決するということ。
だから、セクシャルな映像のような直接的なイメージよりも、
手にとってくれる方の生活や、恋愛状況を真剣に考える。
達人が出てくるTVで見る、
匠のビールを作るとか、職人技の毛抜きを作るとか、
あの類なのだ。
で、結局頭の中はというと…

ただの寂しがり屋な人になってしまった…。
そしてHが一つもなかった。
たぶん、ちょっと変わったものと言えばコレ。
私のネタ帳。
18年間で30冊くらい。
段ボール2箱分くらいあったけど、思ったより少ない。

でも、これめくってみると、意外と面白い。

バイブのラフやパッケージのラフが主だけど、
「私、意外とちゃんと考えてやってきたんだ」と自負。
バイブレーター職人、とかラブグッズ作ってます、
とか言うと、
「へええ、あのアレを~。ふうーん」となんとなく珍獣扱いされる。
でも、誰かの悩みを解決するアイテムですからね。
ただエロい、だけでは、形にならないのですよ。
そして、バイブレーターとひとくちに言えど、
たった一つのアイテムで長年の性的な悩みが解決されたり、
生活の楽しみを見いだせたり(ラブグッズを通して違うことも)
人生に関わる任務を遂行している。
もちろん、私一人のアイデアではない。
殴り書きの後、聡明なアドバイスを頂き、揉みしだかれて形になる。
女子の悩みとおばはんの苦労。
そして、熱血な想いで生まれている。
それだけ、まずは言いたかった。

皮エミ(カワエミ)。コスメ、ラブグッズの企画、開発担当。現在18年目。グッズアドバイザー森沢さんと、開発者花川さんの間にいる。エッセイ、コラム、イラスト、4コマ漫画など多数対応。現在もスタッフとして奮闘中。
●note:https://note.com/emikw→少し濃いエッセイ。全体的に性的な視点が多くあります。NGな方はお控えください。