
「今すぐではないけど、将来的には結婚して子供を持ちたい」そう漠然と希望している女性も多いことでしょう。一方で妊娠というのは、誰でも簡単にすぐに実現するとは限りません。妊娠が可能な体の状態と性行為の条件の二つが合わさったとき、はじめて妊娠が成立します。
この「妊娠が可能な体の状態」は、実はストレスや不規則な生活、病気、遺伝や加齢などによって崩れてしまうことが多いです。なんとなく違和感を感じていたもののそのままにしていて、気が付いた時に妊娠しにくい状態になっているということも少なくありません。
そういったことが無いように将来の妊娠を考えながら、「妊娠が可能な状態」を維持できるように体の状態に耳を傾けていくことを「プレコンセプションケア」と呼びます。今回はプレコンセプションケアとは何か、どんなことに気を付けていけばいいのかなどを解説していきます。
「いつか妊娠したい」と思ってはいるけれど…
「避妊さえやめれば、すぐに妊娠する」そう思っている女性は少なくありません。もちろんすぐに妊娠するケースもあるので、避妊はとても大切です。
しかしいつか妊娠したいと思っていても、いざその時になったときに体の状態が整っていなかったということは珍しいことではありません。では「いつか妊娠したい」という希望がスムーズにかないにくくなってしまう体の状態とは、どのような状態があるのでしょうか。
これに注意!スムーズな妊娠が難しくなる原因
- 排卵が正常に起きていない
- 卵巣に異常がある
- 子宮に異常がある
- 性感染症に感染している
- 甲状腺に異常がある
など、様々な原因が考えられます。一つだけの原因でなく、いくつも重なっていることも少なくありません。
妊娠は女性に排卵がある状態でなければ成立しません。そのため排卵が起きていない状態(無排卵月経など)だと、どんなにセックスをしていても妊娠はしません。また、排卵があっても周期がバラバラ、ということでも妊娠の時期を予測することが難しい場合があります。
妊娠がスムーズにいかなくなる理由には、このようにそもそも妊娠が成立しにくい体の状態になるケースのほかに、妊娠をすると様々なリスクがあるため妊娠を避ける必要があるケースなどもあります。
昔からかかっている病気や病院があったり、ずっと飲んでいる薬がある場合にはかかりつけの先生に妊娠したい時に問題にならないかを尋ねてみるのもよいでしょう。

では妊娠しにくい状態になってしまっていることに、自分から気づく方法はあるのでしょうか?一番良いのは定期的に婦人科で健康診断を受けることです。しかし、下記のような体のサインを感じた時に見逃さずに受診するだけでも、いざ妊娠したい時の為に体の調子を整えておくことに大きく貢献します。
妊娠しにくい状態になってしまうかも?体のサイン
- 生理が3カ月以上来ていない
- 生理と生理の感覚が異常に短く、1か月に2回来る時がある
- 生理が来ない月が多い
- 経血量が異常に多い、または少ない
- 学校や仕事を休んでしまうほどの生理痛がある
全ての妊娠しにくくなる原因が自覚症状のあるものというわけではありません。しかし、体のサインで気づけるものもあります。是非このような体の不調を感じたら、「いつかに影響するかも」と思って、念のため婦人科を受診することをお勧めします。
プレコンセプションケアとは?
「いつか妊娠したい」と思っていても、実はスムーズに妊娠しにくい状態になってしまっているケースがあるということをご紹介しました。いつか妊娠したいと思った時に自然にスムーズに妊娠できるような体の状態に整えておく「プレコンセプションケア」という考え方があります。
プレコンセプションケアには「いつ妊娠してもいいように準備しておく」行動も含まれます。では、具体的にはどのような行動が「プレコンセプションケア」に該当するのでしょうか?
プレコンセプションケアの具体例
- 生理周期を整える
- 子宮頸がん検診、乳がん検診などを定期的に受ける(どちらも早期発見が大切です)
- おりものや生理の異常を感じたら婦人科を受診する
- 健康診断を受ける
- 自分の適性体重を知り(BMIなど)、適度な運動を習づける
- 喫煙をやめる、受動喫煙を避ける
- 過度の飲酒をやめる
- 性感染症を予防する(コンドームを着用してセックスをする)
- 予防接種をする(風疹・麻疹)
- 持病のある方は主治医の先生と薬のことなど相談をしておく
例えば過度なダイエットで生理が止まってしまった時、「生理が無い方が楽だから」と放置していると、将来の妊娠に影響する病気が隠れていたりするリスクもあるので、3カ月以上生理がなければ、婦人科を受診し生理周期を整えることはとても大切です。
他にも妊娠中に風疹に感染すると胎児に感染してしまうと考えられており、風疹の抗体が少ない人は妊娠前に追加の予防接種を受けておくとよいでしょう。(予防接種後2か月は避妊が推奨されています)
また、持病があって普段から薬を飲んでいる人は、かかりつけの医師と相談して妊娠した時にはどのようにするか、予め相談しておくと安心できるでしょう。
生理周期が乱れる原因と整える方法

多くの女性が悩んでいる「スムーズな妊娠を妨げる要因」の一つである生理周期の乱れ。一体どのような時に起きやすく、どのようにすれば整えられるのでしょうか。
生理周期の乱れに繋がりやすい要因
- 仕事が忙しすぎる
- 人間関係などのストレスがある
- 激しいスポーツをしている
- ダイエットなどによって栄養が不足していたり、極端な体重の増減がある
- 寝不足
- 偏食
生理周期を整えるためにまず試したいこと
- 仕事の時間を調整できないか工夫したり、ストレスを溜め込まないようにする
- 激しいスポーツの負荷を減らす
- 無理なダイエットをやめて、しっかり栄養をとる(自分に合ったダイエット方法を見つける)
- 十分な睡眠をとる
- バランスの良い食事を心がける
- アルコールはほどほどに…
しかし、これらのことをしても生理周期がどうしても乱れてしまうことがあります。また、ストレスを取り除こうと思ってもすぐに環境を変えるのが難しいこともあります。
より的確な生活環境の改善アドバイスや、医学の力を借りながら生理周期を整えるケアをしてくれるのが婦人科です。ピルなどを使って、規則的なリズムで生理が来るように整える方法もありますので、生活環境の改善をしても生理周期が乱れたままの時は婦人科を受診するようにしましょう。
上野皮フ科・婦人科クリニックより、「いつか」の為のアドバイス

クリニック
赤ちゃんを望む人達がその準備をしたりすることを、最近では「妊活」と言われています。妊活は、いざ、パートナーとの間に赤ちゃんが欲しいと思ってすぐに授かる場合もあれば、なかなか授からず病院を尋ねて、初めて色々な原因がわかり、その原因のうち、昔から心当たりがあった生理痛や生理不順が原因だったことがわかった、ということも少なくありません。
妊活をしなくても、生き生きと元気で充実した日々を過ごすことができたら…というのは誰もが望む「健康的な生活」です。心身の健康を保つために自分にできることを見つけていくことはとても大切なことです。自分の日々の体調の変化や、最近こんなことが変わってきた、という変化に気づくことは自分の健康に気をつけていればこそ。不安なことや気になることをいつでも相談できる「かかりつけの婦人科」があったら、普段と違う体調の変化を感じた時に、気軽に相談できる心強い味方になってくれると思います。
まだ若いから大丈夫…と思わず、自分自身の未来のために、できることを少しずつ習慣にしていくことが健康な生活を続けていくことにつながります。いつか、のためにできることをお手伝いできるのが婦人科です。ちょっとした不安を是非相談してみてください。
「いつか」を大切に、体の調子を気にかけよう

女性が1年間に妊娠できるチャンスは多くても12回しかありません。さらに年齢とともに妊娠の確率は下がっていきます。いざ欲しいと思った時に体の状態を整えることから始めると、チャンスはどんどん少なくなってしまいます。
「いつか」という気持ちがあるのであれば、一番若い今から自分の体の状態を気に掛ける「プレコンセプションケア」を始めてみましょう。そうすることで今だ!と思った時に多くのチャレンジをする機会に恵まれ、「いつか」の願いが叶う確率も高くなっていくことでしょう。

皮膚科、形成外科、アレルギー科、美容皮膚科、婦人科
サイト:https://www.uenoderma.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/uenoderma_gyneclinic/
院長 西郡克之
※婦人科以外は院長が担当しております。
※婦人科は女性医師が担当致します。(完全予約制ではありませんが、ご予約をお勧め致します)
東京都台東区東上野1-7-12 徳永ビル2階(03-5842-1200)
※本記事の医師監修に関して学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨している訳ではございません。